「社会的オープンエンドな問題」の紹介
「社会的オープンエンドな問題」とは、子ども達の身近な社会の問題を扱って、解決する際に子ども達なりの多様な価値観と数学的モデルが表れ、答えがオープンになる問題を指します。下の写真は、朝日新聞に掲載されたものですが「的当てで遊ぼう」(社会的オープンエンドな問題)を取り上げました。文化祭で実際にあった話を基に教材を作りました。的当ての場面で「1年生がボールを3回投げた時に、5点と3点に入りましたが3回目で3点と1点の境界線上に当たってしまいました。的当てを考えた4年生の子ども達は何点にしようか困ってしまいました。あなたは何点あげますか。」という問題です。
子ども達はこの問題を解決するときに「1年生に優しくしてあげたいので3点にします。式は5+3×2=11 11点です。」とか「1年生がせっかく来てくれたのだから3点と1点を合わせた点数にしてあげたい。式は5+3+(3+1)=12 12点です。」などの「1年生思い」の価値観が表れます。一方で、「全員平等にしたいので真ん中の2点にします。式は5+3+2=10 10点です。(または、(3+1)÷2=2,5+3+2=10 10点)」(平均の考え)や「全員平等で同じだけれども1点の方にたくさん入っているので1点にします。式は5+3+1=9 9点です。」(面積の考え)という「全員平等の考え」が出ます。つまり、子どもの価値観により数学的モデルが変わってくるのです。そうした考えをみんなで出し合ってお互いに批判的思考を働かせながら質問をしたり意見を述べあったりします。それらの活動を通して、自分の考えを振り返ります。
朝日新聞は、こうした社会的オープンエンドな問題の授業に関心を示して下さって、「価値観で答えが変わる」という見出しを付けて新聞に掲載してくれました。
次に、この実践「的当てで遊ぼう」を詳しく紹介します。
出所(朝日新聞2009/12/12)「承諾番号23-3136」 *朝日新聞社に無断で転載することを禁じる*